ここ数年、スマートフォンのサイズは大型化が進んでいます。そのぶん内蔵バッテリーも大容量になって、以前に比べるとバッテリーの持ちもずいぶん良くなってきました。 内蔵バッテリーが大容量になると、いうまでもなく充電に時間がかかります。このためそれぞれの端末メーカーは充電の仕組みを改良し、充電時間のスピード化を図っています。
といっても、端末本体の充電の仕組みが高速化するだけで、充電時間が短くなるわけではありません。充電用のACアダプターも高速充電に対応していなければなりません。
それはモバイルバッテリーも同じです。いくらスマートフォンが高速充電を実現していても、モバイルバッテリーが旧来の仕組みのままだと、充電のスピードは少しも上がりません。
こうした高速充電を可能にしているのは、さまざまな新しい充電方式の規格。
その代表格として期待されているのが「USB PD(PowerDelivery=パワーデリバリー)」という規格です。
これまでUSBケーブルでの給電能力は、最大で7.5W(5V/1.5A)まででした(「USB Battery Charging 1.2」規格の場合)。これに対して、USB PDの規格に対応すれば、それを大幅に上回る最大100W(20V/5A)までの給電が可能になるというわけです。
このUSB PD規格に対応すれば、たとえば、これまで充電に6時間ほど必要だったような端末の場合、2〜3時間程度にまで充電時間を短縮することができます。機器にもよりますが、ざっくりいえば速度が倍になると考えても良さそうです。
高速充電だけではありません。USB PDなら、これまで充電できなかったようなタブレット端末やノートPCなども充電できるようになり、対応機器が飛躍的に拡大すると期待されているわけです。
そして、このUSB PDに必要不可欠なのが「USB Type-C」という新しい入出力規格です。これまでに普及してきたさまざまなUSB規格と違って、入力側と出力側が同じ形状で、上下どちらの向きでも接続が可能という外見的な特徴で知られていますが、もちろんそれだけではありません。
最大のメリットは、データ転送の速度が高まったこと。従来規格で最速だった「USB3.0」のデータ転送速度の2倍の速さでデータを送受信できるのです。
また、電力供給だけではなく多様なデータの送受信にも使えることも大きな特徴です。
たとえば、現在HDMIなどが主流になっている映像データなども、USB Type-Cのケーブルやポートひとつで扱うことができます。
こうした数々のメリットから、USB PD と USB Type-C は、すでに多くの機器に使われており、今後のデジタル機器のほとんどに普及していくだろうといわれています。 事実、2018年11月にAppleが発売する最新のiPad Proは、充電ポートを従来のLightningコネクタに代えてUSB Type-Cを採用しています。
これによって充電だけではなく、ディスプレイやデジタルカメラとダイレクトに接続したり、iPhoneを充電したりすることも可能になりました。
このことから予測すると、次世代のiPhoneにもUSB Type-Cが搭載されることは十分に考えられます。
一方、このUSB Type-Cを利用するこのUSB PDに似た高速給電規格に「Quick Charge(QC=クイックチャージ)」があります。こちらも給電速度が早いのが特徴で、最新規格の「QC4/4+」の場合、最大で27Wの出力が可能です。
こうした高速給電規格に対応した端末をモバイルバッテリーで高速充電するには、いうまでもなく、同じ規格に対応したモバイルバッテリーが必要です。違う規格のモバイルバッテリーでも充電することは可能ですが、それぞれの給電規格で実現可能な充電スピードは望めません。
USB PDに対応している端末にはUSB PDに対応しているモバイルバッテリーが、QCに対応している端末にはQC対応のモバイルバッテリーを選ぶのが、ベストな組み合わせというわけです(ただし、QC4/4+規格の場合はUSB PDと互換性があります)。
ちなみに、QCに対応しているスマートフォンはAndroid端末が主流。一方のUSB PD対応スマートフォンには、Android端末のほか「8」以降のiPhone、Google社のPixelなどがあります。
将来的にはUSB PD規格が主流になっていくと予測されていますが、現在利用しているスマートフォンの充電規格をしっかり確認して、それぞれの規格に対応しているモバイルバッテリーを選びましょう。
<cheeroの取り組み>
cheeroは、対応機種の幅広さや将来性を考慮してUSB PDやQC規格に対応したモバイルバッテリーを開発しています。 現在発売中のモバイルバッテリーのうち、USB PDに対応しているのは「cheero Power Plus 5 5000/10000/15000/20000mAh」「cheero Power Plus DANBOARD PD18W 10050/13400mAh」など。
今後開発・発売するモバイルバッテリーのうち、容量が10000mAh以上のものについては、すべてUSB PDに対応していく計画です。