モバイルバッテリーの
事故はなぜ起こる?

いまやモバイルバッテリーは、スマートフォンのユーザーにとっての必需品。外出の際バッグに1台入れておけば、いつでもどこでもスマートフォンが充電ができる便利なツールとして急速に普及してきました。

しかし、その一方で、モバイルバッテリーの発火や爆発などの事故が目につくようになってきているのも確かです。 モバイルバッテリーやスマートフォンなどに内蔵されているリチウムイオン電池による火災事故は、東京都内だけに限っても2017年までの5年間で168件発生、負傷者も41人にのぼります。残念ながら「100%安全なもの」とはいえないのです。
何しろリチウムイオン電池は、内部に膨大なエネルギーを溜め込みます(だからこそ充電したら長時間使えるわけですが)。その構造上、発火・爆発しやすい、とてもデリケートな特性を持っているわけです。

モバイルバッテリーは、そのエネルギーを貯め込むための「セル」と呼ばれるリチウムイオン電池本体と、充電や放電を管理するための回路で構成されています。このセルが破損したり回路がショートしたりすることで、異常な電流が流れて発火や爆発が起こってしまいます。 セルの破損は、製造工程のどこかで不純物が入るなどが原因になることがありますし、回路の製造不良・故障が引き金になってセルを傷つけてしまうこともあります。

こうした製造不良は、もちろん外から見ただけではわかりません。有名ブランド品であろうとノーブランド品であろうと、製造不良や故障は起こりえます。 そのためにも「PSEマーク」があるかどうか、何らかの異常を感じたときに国内の製造元や輸入元にすぐ連絡ができるようになっているかどうかを、きちんと確認しておくことが必要になります。

が、それだけではありません。大切なのは、モバイルバッテリーの扱い方。発火や爆発しやすい特性を持っていることを理解した上で、丁寧に扱うことが何よりも肝心です。 モバイルバッテリーをズボンのポケットやバッグの底のほうに入れたりするなどして強い圧力をかけたり、高いところから落としたりすると危険です。
また、真夏にクルマのダッシュボードに放置するなど、高温の環境にも注意が必要です。
実際、モバイルバッテリーが原因となった火災の多くが、こうした不適切な使用方法によるものだともいわれています。 モバイルバッテリーは、単3や単4の乾電池とは違います。あくまでも、ひとつの「電化製品」だということを念頭において取り扱うようにしてくださいね。

ちなみに、モバイルバッテリーは、充電時・給電時にあるていど熱を持つものです。そのことを不安に思う人が多いようですが、手に持てるぐらいの温度であればまったく問題はありません。逆に、手に持てないほどの熱さであれば、すぐに使用をストップして、製造元・輸入元に連絡しましょう。